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人工関節置換術を受けたあとに日常生活で気を付けることは?日常生活の注意点について解説

人工関節置換術の術後は入院してリハビリをおこなったあとに、外来でのリハビリに通いながら日常生活、社会生活に戻ることができます。

しかし、中には「歩いたりしゃがんだり、日常生活で気をつけなくちゃいけないことってあるのかな?」「スポーツをまたやりたいけど、やっても大丈夫かな?」など、手術後、不安に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで今回は、人工関節置換術の中でも特に手術件数の多い人工膝関節置換術と、人工股関節置換術の術後の日常生活における注意点について解説します。

人工関節置換術の術後の歩行について

人工膝関節置換術と人工股関節置換術の術後、特に疑問点が多いのが歩行についてといわれています。

結論からいうと、歩行することについてはこれといって大きな制限はありません。むしろ、正常な歩行を獲得するため、また骨や筋肉を弱らせないためにも自分のできる範囲で歩くことをおすすめします。

ただし、無理は禁物。例えば、次の日に疲労が残るようなら運動量が多すぎる可能性が高いので、適度に調節してください。

毎日歩いたほうがいいとか、1日に何千歩歩いたほうがいいなどについては、何が一番よいのかという科学的なデータは今のところありません。

ウォーキングや旅行で、無理のない程度に歩くことを楽しむことがおすすめです。

人工関節置換術の術後の座るなどの日常動作について

一般的に人工膝関節置換術の術後は座ることについて大きな制限はありません。

しかし、術後の屈曲角度(膝を曲げられる角度)は平均120度ほどといわれています。そのため術後に正座が可能となる方は約5〜10%程度ですので、畳や床に座ったり和式トイレを使う和式の生活よりも、椅子や洋式トイレを使った洋式の生活の方が過ごしやすいでしょう。

また、人工股関節置換術の術後は、従来、一般的に正座やあぐら、横座りなどの姿勢は脱臼のリスクが高まるため控えるようにいわれてきました。加えてズボンやパンツ、靴下をはくときは床ではなく椅子に腰掛けてはくように指導を受けたり、日常生活動作に制限が設けられていました。

しかし、近年、筋肉や腱を切らないで行う手術方法が普及し、脱臼のリスクが低下したことによりそのような制限を設けない施設も増えてきています。手術をうける施設、主治医に確認するとよいでしょう。

当院では全例MIS(最小侵襲手術)を採用し、傷も小さく回復も早い治療を実施しているため、股関節姿勢の制限は一切ありません。正座、和式トイレ、自転車などすべて許可しています。

人工関節置換術の術後のスポーツについて

「人工膝関節置換術と人工股関節置換術の術後にスポーツをしても大丈夫でしょうか?」という質問をよく耳にします。

結論からいうと、関節に大きな負担がかからないウォーキング、ゴルフ、スイミング、サイクリングなどのスポーツは問題なくおこなえます。一般的に、適度なスポーツは心身ともによい影響を与えるといわれ、励奨されています。

反対に、野球、サッカー、バスケット、バレーボール、ラグビー、格闘技など、激しい動きを要求されたり、体への衝撃があったりするようなスポーツは人工関節の寿命に影響を与えるといわれています。

しかし、手術をうけた方でこのようなスポーツを生きがいとされている方も多くいらっしゃるのも現実で、またスポーツをするために手術をうける方もたくさんいらっしゃいます。激しいスポーツは人工関節の寿命に影響を与えるといわれているのは事実で、万が一寿命がきたときには再手術が必要となります。現在ではそのようなリスクを了承していただければ主治医と相談のうえ、激しいスポーツを許可している施設も増えてきています。

いずれにしても定期検診で人工関節をチェックしていくことが重要です。

人工関節置換術による人工関節の耐用年数

人工股関節や人工膝関節の耐用年数は一般的におよそ15~20年といわれています。しかし全ての人工関節の寿命が15〜20年というわけではなく、9割の方が20年以上経過した今でも問題なく使用されています。

そして、この数字は20年前に行われた人工関節の寿命が15〜20年ということであり、現在の人工関節の寿命とは言い切れない部分もあります。というのもこの20年で人工関節の素材の進歩は目覚ましく、実験室の段階では遥かに長期間の寿命が見込まれています。

ただ、実際に人体に使用しているわけではないので、現在でもこの数字が使用されています。人工関節の寿命について語るには、膨大な症例の長期間の経過観察が必要なのです。

一般的に人工関節に寿命がきたときには、人工関節がすり減ってきたり、それが原因で骨と人工関節がゆるんできます。初期の段階では疼痛や違和感などの自覚症状に乏しいため、自分では気づかないことがほとんどです。

しかし、知らないあいだに徐々に骨が溶けていったり、ゆるみが進んでいきます。初期の段階で発見された場合、再手術は容易で身体にかかる負担も少ないため、定期検診が重要となります。

主治医と相談のうえ、特に激しいスポーツなどをおこなっている方は定期検診を欠かさないようにしましょう。

まとめ

今回は、人工膝関節置換術と人工股関節置換術の術後、日常生活での注意点について解説しました。

人工関節置換術の術後は、施設によって異なりますが、人工関節に大きな負担がかかるような日常生活を送らなければ特に大きな制限はありません。主治医と相談のうえ定期検診を忘れずに、やりたいことができようになる充実した術後ライフを送りましょう。

人工関節置換術のご案内|康心会汐見台病院/神奈川県横浜市