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膝関節が曲がらなくなるのはなぜ?人工膝関節置換術の手術を受けたら正座できるようになる?

人工膝関節置換術は変形性関節症や関節リウマチなどによって、傷んでしまった膝関節を金属などでできた人工膝関節に置き換える手術です。手術を行うことで膝関節の痛みや関節の動きの改善が期待できますが、手術をしたらすぐに膝関節が自由に曲がるようになるわけではありません。

本記事では、膝関節が曲がらなくなる理由や人工膝関節置換術後に膝関節が曲がるためには何をすればよいのかなどについて解説します。

膝関節が曲がらなくなる理由

膝関節が曲がらなくなるのは、変形性膝関節症や関節リウマチなどの病気によって、膝関節の骨や軟骨がすり減ったり関節が破壊されることが原因です。

膝関節は大腿骨と脛骨、膝蓋骨から構成されている関節で、骨と骨の間にある関節軟骨が、骨同士が直接ぶつからないようにクッションの働きをしています。しかし、老化や肥満、ケガなどが影響して関節軟骨がすり減ってしまうことがあります。

すると、クッションの役割を果たしていた関節軟骨がなくなり、大腿骨と脛骨の骨同士が直接ぶつかるようになって痛みを引き起こしてしまうのです。また、関節がスムーズに動くためには骨同士の間に十分に隙間が必要ですが、変形性関節症などで骨が変形してしまうと隙間が狭くなってしまいます。

その結果、膝関節が曲がらなくなってしまうわけです。

人工膝関節置換術後の膝関節が曲がる角度には個人差がある

変形性膝関節症や関節リウマチが原因となって、膝が曲がらなくなったり、痛みがでたりするようになった場合に行われる手術が人工膝関節置換術です。人工膝関節置換術は、金属やポリエチレンなどの素材でできている人工関節を本来の膝関節と置き換えます。

変形が起きている膝関節を人工膝関節に置き換えれば、痛みや関節の動きの制限となっている原因が取り除かれるため、すぐに改善すると思うかもしれません。確かに痛みに関しては痛みを引き起こしていた関節面が人工膝関節に置き換えられるため、多くの患者様において改善されます。

しかし、関節の動きについては元々の膝関節の状態や人工膝関節術後のリハビリなどによって、膝関節が曲がる角度には個人差が生じます。そのため、誰でも人工膝関節置換術を行えば、正座ができるほど膝関節が曲がるようになるというわけではありません。

一般的に人工膝関節置換術後の膝関節が曲がる角度は、120°〜130°程度といわれています。

ただし、手術をした方の中には、130°以上曲がり正座ができるようになる方もいますし、反対に120°まで曲がらないという方もいます。人工膝関節置換術後の膝関節が曲がる角度に最も関連する因子は、手術前の膝関節の状態、曲げられる角度といわれています。このように個人差はありますが、手術後は概ね120°〜130°程度曲がるようになる方が多いです。

人工膝関節置換術後に膝関節が曲がらない原因

人工膝関節置換術後に膝関節が曲がらない理由としては、以下の原因が考えられます。
  • 痛み
  • 腫脹(炎症による腫れ)
  • 術前の可動域制限 など

手術は皮膚などを切開して人工関節に置き換えるため、手術直後は膝関節を動かすときに痛みを感じたり、腫脹があることによって膝関節が曲げにくくなったりします。ただし、手術による痛みや腫脹は経過とともに徐々に改善していきます。

また、術前に可動域制限が起きていると、癒着が生じていたり、筋肉が短縮していたりすることが多いです。術前に可動域制限がある患者様は、術後も膝が曲がりにくい場合があります。

人工膝関節置換術後に膝関節が曲がるようにするには?

人工膝関節置換術後に膝関節が曲がるようにするには、術前、術後のリハビリが重要です。

積極的にリハビリを行うことで、膝関節の機能や生活の質が改善すると報告されています。そのため、術後は早ければ手術日当日からリハビリを行うことも珍しくありません。

人工膝関節置換術後のリハビリは、ベッド上から始まり、徐々にベッドサイドやリハビリテーション室など負荷を高めていきます。

リハビリの具体的な内容は、以下のとおりです。
  • 筋力増強訓練
  • 関節可動域訓練
  • 自転車エルゴメータなどの持久力運動
  • 立ち上がり動作訓練
  • 歩行訓練
  • 階段昇降訓練
  • アイシング
  • 生活動作指導 など

膝関節を曲げる角度を増やすために、アイシングで炎症を抑えながら、関節を動かす関節可動域訓練を行います。病院やクリニックによっては、CPM(Continuous Passive Motion)といわれる関節を動かす機械を使用することもあります。このように術後早期から積極的にリハビリを行うことが、人工膝関節置換術後に膝関節が曲がるようにするために重要です。

まとめ

人工膝関節置換術は、傷んでしまった膝関節を人工の膝関節に置き換えることで、痛みや関節の動きを改善する手術です。しかし、手術前の状態などによって、曲がる角度には個人差があります。人工膝関節置換術の手術が終われば膝関節がすぐ曲がるものではなく、術前、術後のリハビリが極めて重要となります。

【参考資料】
人工関節置換術のご案内|康心会汐見台病院/神奈川県横浜市