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人工膝関節手術を左右同時におこなう両側同時人工関節手術を解説

一般的に変形性膝関節症の手術は、関節鏡視下手術、膝関節周囲骨切り術、人工膝関節置換術の3つがあげられます。しかし、左右の膝の手術を同時におこなう両側同時人工関節手術という高度な術式もあります。

この記事では、人工関節両側同時手術の手術法やメリットなどを詳しく解説します。

人工膝関節の両側同時手術とは?

加齢や筋力の低下により、膝の軟骨がすり減り、関節の変形で痛みを生じる疾患が変形性膝関節症です。

変形性膝関節症の治療法には、さまざまな方法があります。運動療法や薬物療法などを数ヵ月続けても改善が得られない場合や、症状が悪化して膝の変形が著しい場合は、手術療法が検討されます。

代表的な手術療法は人工膝関節置換術です。傷んだ膝の骨や軟骨を削り取り、代わりに人工関節に置き換えることで、膝の痛みを取り除きます。

しかし、変形性膝関節症では、片方の膝だけでなく、両膝が左右同じように痛みや変形を生じている患者さんが少なくありません。

両膝とも同様に痛みや歩行障害を生じ、手術が必要な場合、片膝ずつ、時期をずらして手術する方法と、両膝を同時に手術する方法があります。左右の膝関節を同時に人工関節に置き換える手術を両側同時人工膝関節置換術といいます。【画像1参照】

【画像1】両側同時手術の術前と術後のレントゲン写真

【画像1】両側同時手術の術前と術後のレントゲン写真

人工膝関節の両側同時手術のメリット・デメリット

人工膝関節の両側同時手術には、次のようなメリットとデメリットがあります。

入院と手術が1回で済む

両側同時手術の大きなメリットは、手術が1回で済み、入院期間が短縮されることです。誰でも手術を受けるのは嫌なものです。手術を2回受けるよりは、1回で終わらせたほうが効率はよく、麻酔をうけることも1回で済みます。

両膝の同時手術で体への負担が大きくなるのではないか、と心配される患者さんも多いでしょう。たしかに片側を1回だけ手術するのと、両側同時に手術するのでは、両側同時の方が体に対する負担は増えるでしょう。しかしその後、反対側の膝を、時期を空けてもう1回手術するとなるとどうでしょうか。その場合、再度麻酔をうけなければなりませんし、両側同時と負担はそう変わらないでしょう。

なお、手術時間は施設にもよりますが、片方の脚で1時間半、もう片方で1時間半、合わせて約3時間程度が目安となります。

リハビリと入院期間の短縮

両側同時手術では、リハビリテーションが大変で入院期間も長くなるのではないか、と心配される患者さんもいます。

両膝を同時にリハビリするとなると、イメージとしては、片方の膝のリハビリよりも大変になると思われがちです。しかし、実際におこなうリハビリの方法は、片膝の場合でも両膝の場合でも、それほど差がありません。むしろ両側を1回で治している分、両側同時例の方が機能回復は早い傾向にあります。

両膝の人工膝関節置換手術を、片側ずつ2回に分けて受ければ、1回の手術に比べリハビリ期間は2倍になります。両側同時手術で1回で手術を終えた場合、片側1回の術後の場合とリハビリ期間は同程度であり、リハビリ期間が半分で済むのは両側同時手術の大きなメリットです。

両膝手術の入院期間は、片膝の手術と変わらないか、3日〜1週間程度長くなるだけです。手術を2回受けるよりは、体への負担だけでなく、入院費用が軽減される経済的なメリットもあります。

膝関節の両側同時手術の対象となる人は?

両側同時手術は、希望すれば誰でも受けられるものではありません。そもそも人工膝関節置換術は、膝の変形が末期となり、日常生活が円滑に送れなくなった患者様に対する最終的な治療法です。【画像2参照】

【画像2】 変形性膝関節症の進行度合い

【画像2】 変形性膝関節症の進行度合い

一般的に両側同時手術を受けられるのは、内科的な問題がなく、比較的体力がある、80歳以下くらいまでの患者さんが対象となることが多いでしょう。ただし個人個人で全身状態や体力は異なるため、一概に年齢で線引きができないことも少なくありません。

両側同時手術の注意点

両側同時手術では手術を受けるタイミングが重要です。膝が痛くても、杖を使わずに歩ける人はもちろん手術を受ける必要はありません。しかし、歩けなくなってから手術を考えるのでは遅すぎます。

筋肉が落ち切ってしまってから手術をおこなっても、手術後の回復があまりよくないからです。

一つの目安は、「膝が痛くて短い距離でも歩けない」「関節の変形により容姿が悪くなった」「膝の痛みのために日常生活に支障が生じている」などの状態であれば、手術を検討する必要があるでしょう。

まとめ

膝関節の同時手術をおこなう病院や施設は、決して多くありません。手術を検討する際に実際の手術方法などを含めて担当医から詳しく話を聞いておくことが大切です。膝関節の両側同時手術はほとんどの場合、一生に一度の手術となります。手術後の定期検診なども含め、担当医と一生のお付き合いになることが多いため、担当医との相性も大切です。

高度な技術を持つだけでなく、「信頼できる」「任せられる」と思える医師を選ぶことをおすすめします。

人工関節置換術のご案内|康心会汐見台病院/神奈川県横浜市