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人工関節の原因ってなに?3つの疾患と痛みを緩和する治療法をご紹介

近年、国内外問わず膝関節を中心に人工関節の手術を受ける患者が増加傾向にあります。そして人工関節の原因となっているのが変形性関節症と呼ばれる関節疾患です。

そこで本記事では、人工関節の原因となる各関節の変形性関節症の特徴や治療方法、さらに除痛効果が期待できる人工関節置換術の種類についてご紹介します。

人工関節の原因となる病気や関節症とは

人工関節置換術をおこなう原因となる病気や関節症は数多くありますが、本記事では国内において数多く施行されている人工関節置換術の原因、以下3つの疾患についてご紹介します。
  • 変形性膝関節症
  • 変形性股関節症
  • 変形性肩関節症

同じ変形性関節症ですが、症状や治療方法が異なるので1つずつ解説致します。

原因①変形性膝関節症

人工膝関節置換術の原因は変形性膝関節症が多くのケースを占めており、膝関節の強い痛みと歩行障害をともないます。変形性膝関節症もまた原因が存在し、半月板損傷や関節リウマチなどあらゆる関節疾患によって引き起こされます。

さらに加齢によって関節軟骨の弾力性が低下してしまい、軟骨はすり減り膝関節の変形が進行してしまいます。そして関節の変形が進行してしまうと、いわゆるO脚となってしまい膝関節内側の関節変形が進行して骨棘と呼ばれる骨のトゲが形成されてしまいます。

保存治療としては痛み止めの内服や湿布など外用薬の使用、膝関節周囲の筋肉を鍛えるといった運動療法・リハビリテーションが適応となります。ヒアルロン酸注射や電気治療などの物理療法も治療としておこなわれますが、多くの場合は痛みが緩和されるのは一時的であり再び痛みが出現してしまいます。

保存療法によって症状の緩和が見込めない場合は、レントゲン検査や診察のうえで手術を検討します。適応となる手術には人工膝関節置換術をはじめ、骨切り手術や膝関節の内側のみを人工関節に置換する人工膝関節単顆置換術があります。

原因②変形性股関節症

人工股関節置換術が適応となる患者のうち、変形性股関節症が原因となる場合が非常に多く見受けられます。変形性股関節症とは、何らかの原因で大腿骨の骨頭と受け皿である臼蓋の軟骨がすり減り、関節の変形によって強い痛みが生じる疾患です。

変形性股関節症は以下のように、あらゆる原因によって誘発されます。
  • 関節リウマチ
  • 大腿骨頭壊死症
  • 大腿骨寛骨臼インピンジメント
  • 寛骨臼蓋形成不全

変形性股関節症の発症年齢は平均40~50歳であり、寛骨臼蓋形成不全が原因の80%以上を占めるといわれています。症状が進行すると股関節に強い痛みが生じ、重症化すると脚長差(足の長さが短くなって差が生まれる)が出現してしまうケースもあります。

保存療法としては痛み止めの内服や運動療法、そして体重コントロールなどの生活指導が適応となり、関節変形による痛みをコントロールします。もし保存治療で症状の緩和が得られない場合、変形性股関節症は以下の手術が適応となります。
  • 人工股関節全置換術(THA)
  • 骨切り手術

人工股関節全置換術が適応となる場合が多く、手術後は1〜2週間ほどで自宅退院が可能となります。

原因③変形性肩関節症

股関節や膝関節と比較するとあまり知られていませんが、肩関節に対して人工関節を置換する症例もあります。原因となる変形性肩関節症とは、肩甲骨と上腕骨によって構成される肩甲上腕関節と呼ばれる関節にみられる疾患です。

なんらかの原因で肩甲上腕関節の関節軟骨がすり減ってしまい、関節面の変形によって痛みが生じたり腕が上がらない、肩がゴリゴリするといった症状がみられます。変形性肩関節症には、以下のような原因疾患があります。
  • 反復性肩関節脱臼
  • 骨折
  • 肩関節周囲炎(五十肩)
  • 腱板断裂

加齢にともなう軟骨のすり減りだけでなく、10代や20代で肩関節脱臼を繰り返し、若い年齢から変形性肩関節症を患う方もいます。保存療法は痛み止めの内服や肩関節への注射(痛み止め)、運動療法が適応となります。

そして変形性肩関節症に対しておこなわれる人工肩関節置換術には、以下2つの手術方法があります。
  • 人工肩関節全置換術(TSA)
  • 反転(リバース)型人工肩関節置換術(RSA)

従来の人工肩関節全置換術に対して反転型人工肩関節置換術は、腱板断裂をともなった変形性肩関節症の方に適応される手術です。

まとめ

本記事では人工関節の原因となる疾患、変形性関節症についてご紹介しました。国内における平均年齢は増加傾向にあるため、加齢によって進行する変形性関節症の患者もまた増加しています。

リハビリテーションや痛み止めの内服といった保存治療によって痛みが緩和するケースもありますが、すり減った軟骨が元に戻ることは残念ながらありません。従来の人工関節によって除痛効果は大きく得られていますが、常に医療技術は進歩しており人工関節もより良質なものへと進化しています。

長年の痛みに悩んでいる方がもしいらっしゃるのであれば、一度手術のご相談をしてみることをおすすめします。

人工関節置換術のご案内|康心会汐見台病院/神奈川県横浜市