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人工関節を生涯使えるようにしよう!人工関節と上手に付き合っていくための注意点

近年、人工関節の手術はそう珍しいものではなくなり、人工関節の機能性や耐久性も従来と比べ向上しています。そのため人工関節の手術をうけたあとも以前と同様の日常生活を送れるようになっています。

これまで苦しんできた関節の痛みから解放され、行きたいところへ出かけたりやりたいことを自由にやったり、健康なときと変わらないほど活動的に過ごす患者様はたくさんいます。

しかし、痛みがなくなり体が自由に動かせるようになったからといって、関節を乱暴に扱ったり過度に負担をかけると人工関節の破損や摩耗(すり減ること)を招く可能性があります。

従来人工関節の寿命は約15〜20年程度といわれていますが、現在の人工関節の寿命はそれ以上と期待されています。それでも過度の負担は耐用年数を短くするといわれています。

この記事では手術をうけたあと、人工関節と上手に付き合っていくために守っていただきたい注意点について解説します。

人工関節の可動域制限を守る

性能が向上したとはいえ、人工関節はもともとの人間の関節とは異なります。

手術方法などにより制限を設けていない施設も増えてきていますが、可動域(関節を動かせる範囲)の制限が設けられている場合、制限を超えた無理な姿勢や関節の動かし方をしてはいけません。

特に手術後3週間くらいの間は人工関節周辺の組織が安定せず、関節が不安定になっていることがあるため、無理に動かすと人工関節が脱臼する恐れがあるので注意が必要です。

なお、関節の可動域制限の有無や程度は施設によって異なりますので、主治医や理学療法士の指示に従うようにしてください。

日常の動作や運動における注意点

退院後、日常生活や社会生活に復帰したあとは個々のライフスタイルにあわせ、人工関節を長持ちさせるように上手に付き合っていくことが大切です。

しかし、人工関節の手術をうける理由は患者様それぞれで異なります。

とにかくひどい痛みから開放されたい、スポーツ活動をもっとやりたい、もっと旅行に行ってたくさん歩きたい、など個々人によってその理由はさまざまです。それぞれの方がライフスタイルに応じて人工関節の寿命を延ばす最適な方法を主治医と相談していきましょう。

以下は一般的にいわれている人工関節に負担をかけない日常動作、生活習慣です。

スポーツや肉体労働などをおこなわない方に適した生活習慣で、最も人工関節を長持ちさせるといえるでしょう。

正座やあぐらをかいたり足を組んだりする姿勢

正座やあぐらをかいたり足を組んだりする姿勢は、関節に負担がかかります。風呂場の低い椅子に座ったりしゃがみこんだりする姿勢も、無理のない範囲でおこなってください。

負担のかかる姿勢

洗濯や掃除などの際によく使うものは手の届く範囲に置き、床を拭くときは雑巾ではなく、柄の長いモップを使うようにしましょう。また、洗濯物を干すときは片方の足に体重がかからないように両足で支えるようにしてください。

重いものを持ち上げない

買い物のときは手提げカゴではなくショッピングカートを利用し、重いものを持ち上げる動作はできるだけ避けましょう。米や飲料水など、重いものを持ち上げるときは店員に手伝ってもらいましょう。

転倒に注意する

浴室では滑り止めマットを敷き、転倒しないように気をつけてください。また、手術をしていないほうの足からお湯につかるようにしたほうが安全です。

また、散歩や外出の際には転倒に十分注意しましょう。特に女性の場合、骨粗しょう症(骨がもろくなる病気)を併発していることも多く、転倒により骨折してしまう可能性があります。

激しい運動は避ける

サッカー、バスケットボールなどの激しい運動は、人工関節の破損や摩耗(すり減ること)の原因となるため、できれば避けたほうがよいでしょう。サイクリングや水泳など、関節への負担が少ない運動であればかまいませんが、念のため医師と相談してからおこなうようにしてください。

逆に比較的若年で、激しいスポーツ(マラソンや格闘技)などをもっと楽しみたいという方については特に制限を設けない施設が最近多くなってきています。

先述したように過度の負担は人工関節の耐用年数を短くすることがいわれていますが、そのリスクを承知した上で定期検診をしっかり受診されることが重要です。

感染にも注意!定期的に検診を受けること

人工関節の破損や摩耗だけでなく、細菌などによる感染にも注意が必要です。

糖尿病や関節リウマチの治療をしている方や、ステロイド治療を受けている方、ひどく体調を崩し免疫力が低下している方は感染を合併するリスクが高いといわれています。このような既往がある方は原疾患のコントロールをきちんとおこないましょう。

また、手術をうけた患者様がむし歯や水虫になってしまった場合、放置してしまうと細菌が血流にのって人工関節に感染してしまう可能性があります。このような病気に罹ったとしても、放置することなくきちんと治療することが感染予防として非常に重要です。日頃から体調管理を心がけるようにしましょう。

まとめ

人工関節置換術はひざや股関節に悩みを抱えている患者様に大きな福音をもたらします。しかし人工物である以上、人工関節が生涯機能し続ける保証はないことを理解しておく必要もあるでしょう。

個々のライフスタイルにあわせ、人工関節を長持ちさせるように上手に付き合いながら生活する心がけが何より大切といえます。

人工関節置換術のご案内|康心会汐見台病院/神奈川県横浜市